こんにちは、KENです。
今回のテーマは、読者さまからご質問をいただくことの多い“羊革のレザージャケット”についてです。
どうやら「羊革って破れやすい」とか「羊革って安っぽい」というイメージをお持ちの方が多いようです。
しかし、本当に羊革のレザージャケットというのは、そのイメージ通りのものなのでしょうか?
そこで今回は、僕が今までに所有した羊革のレザージャケットを元に『羊革のレザージャケットってどうなのか?』を調べていきたいと思います!
後半には羊革を使用したオススメのレザージャケットもご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください!
羊革について
ご存知の方も多いと思いますが、羊革は“ラムレザー”と“シープレザー”に分けられます。
“ラムスキン”とは生後1年未満の羊の皮を指します。
毛穴が小さいため、表面のきめも細かくしっとりと吸い付く表面感が特徴です。
中でも、生後6ヶ月の革を「ベイビーラム」と呼び、羊革の中では最も高価な素材となっています。
“シープスキン”とは生後1年以上経過した羊の皮を指します。
毛穴によるキメが細かく、薄くて柔らかい点が特徴です。
生後1年未満のラムスキンに比べてキメは粗くなりますが、強度は勝ります。
ラムレザーの方が高いとされていますが、丈夫なシープレザーを好んで採用するブランドさんも多いため、どちらも一長一短と言えるでしょう。
羊革のレザージャケットについて
ここからが本題。
ここから羊革のレザージャケットについて、お話していきたいと思います。
昨今ファッションブランドからリリースされているレザージャケットというのは、おそらく7割以上が羊革を使用したものではないでしょうか。
その理由は、羊革が“柔らかくしなやかで、ウェアに向いている革素材”だからです。
また、他の革とぶ比べ“コストを抑えられる”という理由も挙げられます。
もちろんルイスレザーをはじめとする本格レザーブランドや、ハイファッションブランドでも羊革のレザージャケットを展開しており、決して「羊革=安価」というわけではありません!
革ジャンを得意とするブランドからリリースされる羊革のレザージャケットは、牛革や馬革とはまた違った魅力を兼ね備えていると言えるでしょう。
羊革のレザージャケットは安っぽい?
「羊革のレザージャケットは安っぽい」というイメージをお持ちの方も多いようです。
しかし、上述したように羊革だからといって安いという認識は間違いです。
ただ確かに、量販店などで見かける安かろう悪かろうのレザージャケットというのは、コストを抑えるために安価な羊革を使用しているというケースが多いようです。
どうしてもそういったレザージャケットを目にする機会が多いため、「羊革=安っぽい」というイメージがついてしまったのかもしれません。
羊革のレザージャケットは薄くて破れやすい?
前述もしましたが、「羊革は薄くて破れやすい」というイメージを持っている方が多いようです。
しかし、実際のところは柔らかいので薄く感じるというのが正しいのかもしれません。
革というのは、バッグやシューズ、ウェアなど用途に合わせて、厚みを調整するために“漉き”という作業工程が入ります。
つまり、一概に羊革だからといって薄いとは限らないということです。
しかし、そもそも羊という動物の特性上、分厚い原皮は少ないようなので、牛革(ステアハイドやカウハイドなど)と比べると、どうしても薄く仕上げることになってしまうようです。
もちろんブランドによっては、厚手の羊革を使用したレザージャケットを販売しているところだってあります!
例えばアディクトクローズでは、1.6mm以上の肉厚シープレザーを厳選して使用しているそうです。
重厚感と着心地を兼備したアディクトクローズのシープレザージャケットは、革好きからも定評があります。
また「羊革のレザージャケットは破れやすい」というイメージを持っている方も多いようですが、こちらも上記に付随した先入観ではないでしょうか。
確かに牛革や馬革に比べると強度は低いかもしれません。
ただし、普通に着用している限り「引っかかって破れた」なんてことはあまり聞いたことはありません。
(もちろん薄い羊革であればありえることですが)
現に羊革を使用した、70年代の革の状態の良いビンテージ革ジャンだって存在するわけですし。
ですので、一概に「羊革=破れやすい」とは断言できないと考えられます。
羊革のレザージャケットの経年変化について
やっぱり一番気になるのは、“羊革のレザージャケットの経年変化”についてではないでしょうか?
一般的には羊革は、経年変化が出にくいと言われています。
僕自身も今までに、何着もの羊革のレザージャケットを所有していましたが、確かに「牛革や馬革に比べると経年変化(立体感のあるシワ感など)は出にくい」かなと感じます。
(僕が過去に所有していたSchottのシープレザーのレザージャケット)
この革ジャンは、肉厚があって風合いの良いシープレザーだったのですが、やはり経年変化は出にくかったですね。
…と言うか、シワが記憶されにくいという表現が正しいのかもしれません。
しかし中には、めちゃくちゃいい表情に育つ羊革のレザージャケットも存在するのは確かです。
例えば、ルイスレザーのシープレザー。
こちらは、ホースハイドやカウハイドと比較しても、引けを取らないほど素晴らしい経年変化を楽しむことができます。
(むしろ個人的にはホースやハイドよりも好きです)
その理由の1つとして考えられるのは、ルイスレザーのシープが“ベジタブルタンニン鞣し”だからです。
やはり同じ羊革でも、鞣しや加工など、革の製造工程によっても風合いや経年変化の現れ方が大きく変わってくるようです。
どんな羊革なら経年変化が楽しめる?
それではどのような羊革であれば、経年変化を楽しめるのでしょうか。
僕自身、全ての羊革を比較したわけではないのですが、今までの所有したレザージャケットから統計すると、以下のような羊革であれば経年変化が出やすいと考えられます。
①ベジタブルタンニン鞣し仕様
革本来の風合いを感じることができる。
また革にハリが出るので、立体感のあるシワ感が出やすい。
②肉厚レザー(約1.2mm~)
厚みのある革の方がコシが強くなり、立体的で膨らみのあるシワ感が付きやすい。
現在、僕が所有している羊革のレザージャケットは以下の2着。
(タンニン鞣し/0.9mmのラムレザーを使用)
(クロム鞣し/1.2mmのラムレザーを使用)
タンニン鞣しだけど厚みがやや薄かったり、厚みはあるけどクロム鞣しだったり……と、なかなか納得のいくものに出会えていないのが現状です。
羊革を使用したオススメのレザージャケット
それでは最後に、羊革を使用したおすすめのレザージャケットをいくつかご紹介したいと思います。
ADDICT CLOTHES(アディクトクローズ)
日本を代表するレザーブランド“アディクトクローズ”の、シープレザーライダース。
イギリス製ヴィンテージライダースに使用されているシープスキンに近い、シボの多い茶芯のシープスキンを使用しています。
経年変化を存分に楽しめる、贅沢な一着です。
Lewis Leathers(ルイスレザー)
言わずと知れたレザーブランド“ルイスレザー”のシープレザーモデル。
こちらもフルベジタブルタンニン鞣し仕様になっており、ややマットな質感でナチュラルな風合いの一着になっています。
シボ感にムラがあり、個体差が大きいのも特徴です。
Schott(ショット)
アメジャンの代表格ブランド“ショット”のライダースジャケット。
ショットの革ジャンというと、基本クロム鞣しが主流なのですが、こちらの2型はタンニン鞣しレザーを使用しています。
従来のショットのモデルよりも、より経年変化を楽しめる一着となっています。
beautiful people(ビューティフルピープル)
ファッションブランドの革ジャンを探されている方におすすめなのが“ビューティフルピープル”の定番ライダース。
素材にはヴィンテージ加工が施された、肉厚のラムレザーを使用しています。
ファッションブランドでは珍しくタンニン鞣しレザーを使用しており、こだわりを感じさせる一着です。
まとめ
ということで、今回は僕が今までに所有した羊革のレザージャケットを元に『羊革のレザージャケットに関する疑問』についてまとめてみました。
いかがでしょうか。羊革のレザージャケットに対するイメージは変わったでしょうか?
羊革のレザージャケットのメリット・デメリットを簡単にまとめると以下のようになります。
羊革のメリット・デメリット
[メリット]
・軽量で柔軟性があり着やすい
・シボが細かく上品な印象がある
・着こなしの幅が広がる(インナー使いしやすい)
[デメリット]
・傷がつきやすい
・経年変化が出にくい
・良し悪しの判断が難しい
羊革のメリットとデメリットを知ることで、自身に合ったレザージャケットをチョイスすることができると思います。
決して、羊革のレザージャケットが他の革に比べて劣っているというわけではなく、それぞれ一長一短に特性があるということです。
ライフスタイルやファッションスタイルに合わせて革の種類を選んであげるのが良いのではないでしょうか。
ぜひ、革ジャン選びの参考にしていただけると嬉しいです!
それでは本日はこの辺りで。
最後までご覧いただきありがとうございます!
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コメント
はい、本日、ルイスレザーのsheep革ジャン買いました
201,300円でした。
決して安くないし、安っぽくもないと思います。
見て着て良いな〜と思って購入しました。
で、店員さんになぜ当店に?
と、問われ「オトコフクDX」のKENさんに貴方は、ルイスレザーが良いですと言われたので買いに来ましたと言ったら、店員さん検索してました!(^^)!
若い(私の3分の1のお年位)店員さんでしたよ。
Atsushiさん
コメントありがとうございます。
そんなそんな…恐れ多いです。
Atsushiさんの、革ジャン探しのお役に立てたようで光栄です!
これからの経年変化が楽しみですね!
ぜひまたお写真見せてください!
厚手のシープスキンの革ジャン(できれば茶芯)が欲しいなと思っているのですが、以下のブランド以外に思いつくものはあるでしょうか?アドバイスいただけたら嬉しいです。
ルイス、アディクト(茶芯)、ショット(茶芯)、
ンジャメナさま
コメントありがとうございます。
そうですね…
厚手のシープさらに茶芯となると、おっしゃられているブランドが有力かなと思います。
ファインクリークやサンセットベイでも厚手のシープはありましたが、茶芯仕様ではありませんでした。
お力になれず申し訳ございません。。。