こんにちは、KENGOです。
2024年も残りわずか。
今年もなんとかブログを休まずに毎週末更新することができました!
これもひとえに、毎週見てくださっている皆さまのおかげでございます。
本当にいつもありがとうございます!
さて!
今週は『レザーブランド“iame”の新作モデル』についてピックアップしたいと思います。
「いつもの商品レビュー記事か…」と思っているあなた!
今回は単なるレビュー記事ではありません。
実はですね…
ここ数ヶ月に渡り、iameの新たな革ジャン開発の裏側に密着しておりました。
この記事を通して、レザーウェアブランドがどのようにして新たな革ジャンを開発していくのか?
そんな“革ジャンづくりの背景”も同時に楽しんでいただけるかと思います。
そして最後に革ジャンプロデュース企画第2弾に関するお知らせもあります。
ぜひ最後までチェックしていただけると幸いです。
iameの新作について
“iame(アイエイム)”は、代表のRyukiさんが2022年に立ち上げたレザーウェアブランド。
一般的なブランドと異なるのは、完全受注生産という形態で販売しているという点。
iameでは、革から資材まで厳選された素材を取り扱っており、購入者が好みに合わせて細かくカスタマイズすることができます。
ブランドの規模感こそ大きくありませんが、革ジャン好きを中心に、今 着実にファンを増やし続けている新時代のレザーブランドと呼べる存在です。
そんなiameからこの度、新作がリリースされました。
厳密にいえば、新作というよりは“新たに開発されたオリジナルレザー(シリーズ)”という表現の方が適切かもしれません。
そしてオトコフクDXでは、このオリジナルレザーが完成するまでの過程を、数か月に渡り追い続けてきました。
ここからはiameが試行錯誤の末に作り上げた、“オリジナルレザー”にフォーカスして見ていきたいと思います。
新たな価値を創造するための第一歩
今回iameから新たにリリースされたオリジナルレザー(シリーズ)というのは、“KUMAMOTO LEATHER”。
そのシリーズ名からも分かる通り、熊本県産の原皮を使用したホースレザーになります。
この時点で「おっ!」と思った人は相当な革好き。
実は国内のレザーブランドにおいて、“国産原皮の馬皮(重種馬)”を使用している革ジャンって、ほとんど存在しないらしいのです。
(※「国内生産の馬革」と謳われているそのほとんどは、“海外産原皮を国内のタンナーで鞣した革”である)
「どのブランドもやっていない、国内産原皮の馬皮で革ジャンを作るとどうなるのか…」そこに強い関心を寄せたRyukiさん。
その探究心に突き動かされ、自ら原皮の仕入れ先を開拓し、希少な国産原皮の馬皮を使ったオリジナルレザーの制作に踏み切ったと言います。
紆余曲折の末、原皮を仕入れるために辿り着いた先は、熊本にある原皮の所有権を持つ業者。
ここが国内で唯一、重種馬(革ジャンに使用できる厚みの皮)を仕入れることのできる業者さんらしいのです。
もちろんこの業者も、ブランドに直接原皮を卸すのも初めてとのこと。
ちなみにこれは余談ですが、なんの当ても無かったRyukiさんは、まず馬刺しの専門店に片っ端から電話をしたんだとか(笑)
すごい行動力です。
ただこの時点では、海外産の原皮と国内産の原皮で仕上げた革にどう違いが出るのか…明確ではありませんでした。
「むしろ国内産原皮の馬皮を使用するデメリットの方が大きいんじゃないのか…?」その時、僕はそんな不安すらよぎっていました。
しかし国産原皮(重種馬)の馬皮で革ジャンを作製することに、“ブランドとしての意義を感じた”と語るRyukiさん。
革ジャンづくりに関して、「自分が気になったことは、やってみるまで気が済まない」。
これこそがiame真髄。革ジャンづくりに対するRyukiさんの哲学なのだと思い知りました。
iameの構想を具現化するタンナー
ようやく辿り着いた国産原皮(重種馬)の馬革は、半年で20枚(20着分)ほどしか仕入れられない非常に希少な皮。
この少量ずつしか入手できない皮をどこで鞣すのか…
そこで選んだタンナーは”株式会社オールマイティ”。
以前このブログでもご紹介した姫路のタンナーさんです。
オールマイティは一般的なタンナーとは異なり、1枚ずつ革を鞣してくれるとても稀有なタンナー。
1枚ずつ鞣せるということは、その分 失敗した時のリスクも軽減できるという利点も。
希少な原皮を使用し、他とは一線を画すオリジナルレザーを開発しようとするiameにとって、まさに理想的なタンナーさんだと言えます。
そしてこのタイミングで僕もタンナーへ同行させていただき、その一部始終を見届けてきました。
かけがえのないタンナー“オールマイティ”
(オールマイティ会長の水瀬さん)
以前記事でも書いた通り、オールマイティは非常に職人気質でクリエーター気質のタンナーさん。
小規模なタンナーであるがゆえに、ブランドの要望に対して真摯に向き合うスタンスが印象的でした。
会長の水瀬さんからRyukiさんへ「やるからには絶対に妥協したらあかんで!」と、釘を刺す一面も。
この日は滞在時間3時間ほどでしたが、Ryukiさんの革ジャンに対する想いや価値観。そして理想とする革のイメージなどをじっくりと擦り合わせ、オリジナルレザー開発に向けて着実にまた一歩前進しているよう感じました。
その光景を目の当たりにし、革ジャンの素材ひとつ開発するのにもこんなにも手間暇がかかるのかと実感。
僕にとってもこの時間は非常に有意義なものでした。
その後も数ヶ月に渡り、Ryukiさんはオールマイティと綿密に打ち合わせを重ね、鞣しから染色まで一切妥協することなく、オリジナルレザー開発に向けて突き詰めていったそうです。
(鞣された熊本レザーを納得の表情で眺めるRyukiさん)
他のタンナーさんとブランドさんが、どのような距離感で製品開発をしているのかは分かりません。
ただ少なくとも今のiameにとっては最高のパートナーであり、オールマイティの協力なくては今回のオリジナルレザーを開発できなかったと語っていました。
KUMAMOTO LEATHERの革ジャン
お待たせしました!
それではここからは試行錯誤の末に完成した、KUMAMOTO LEATHERシリーズの革ジャンをご紹介します!
実際に完成したサンプルをお借りしているので、着用写真などもあわせて見ていただきましょう。
今回僕が伝えたいKUMAMOTO LEATHERシリーズの魅力は、大きく分けて2つあります。
唯一無二の革について
(カラー:スモーキーブラック)
まずKUMAMOTO LEATHERシリーズ 1つ目の魅力は、なんといっても“革の風合い”。
原皮からこだわってるものの、実際のところどうなんだって話なんですけど…
本当にめちゃくちゃ良い革に仕上がっています。
正直こんな革 見たことない…というレベルです。
「おまえ忖度で言ってんじゃないか!」って誤解されないようにお伝えしますが…
そもそもRyukiさんと僕の革の好みがドンピシャっていうのが大前提としてあります。
なのでもちろん、見る人全員が全員“最高の革”と感じるとは思っておりません。
ただ少なくとも僕にとっては超大好物。この上ない最高の革だと感じました。
(カラー:スモーキーバーガンディ)
KUMAMOTO LEATHERシリーズ最大の特徴は、“圧倒的なオイル量”。
一般的なオイルドレザーと呼ばれる革と比べても、明らかにオイルの含有量が違います。
僕もそれなりに色んな革ジャンを見てきた方だと思うのですが、正直ここまでオイルが入ってるレザーを知りません。
とは言っても、オイルドコットンみたいにオイル移りするわけでもないんです。
もう完全に革に入り込んでいるって感じ。
例えて言うなら…、僕が子どもの頃にあった“油粘土”。このタッチに近いと思うんですよね。
伝わるかな…これ笑
オイルドレザーの極みとも言える、このしっとりとしたタッチ感がたまりません。
本当に最高の風合いです。
しかもただ単純にオイルの含有量が多いだけではありません。
オイルドレザー特有のクタっと感はあるのですが、ちゃんとコシもあるんです。
これを可能にしたのは紛れもなく“オールマイティ”の技術の賜物。
オールマイティで作製されるタンニン鞣し革は、ピット鞣しに近い手法で作られています。
オールマイティさん曰く、(タイコで鞣した)一般的なフルベジタンレザーと比べても、タンニンの含む量が桁違いに多いんだとか。
オイルドレザーのしっとり感と、タンニン鞣し特有の力強い風合いがしっかり生きている革です。
カラーバリエーション
そしてKUMAMOTO LEATHERシリーズの魅力2つ目は、“カラーバリエーション”。
色合いがなんとも絶妙なんですよ!
まずは実物を見ていただきましょう。
今回KUMAMOTO LEATHERシリーズは5カラーで展開。
1色だけこのタイミングに間に合わなかったので、ここでは4カラーをご紹介します。
(スモーキーターコイズ)
(スモーキールリブルー)
(スモーキーバーガンディ)
(スモーキーブラック)
いかがでしょうか。
写真だとなかなか細かい色味が伝わらないと思うのですが…
「スモーキー」というだけあって、どのカラーもムラ感があって非常に深みのある色合いに仕上がっています。
また落ち着いたトーンですので、“いかにもなカラーレザーが苦手”という方でもチャレンジしやすい色味だと思います。
実際僕はカラーレザーになかなか手が出せない人間なのですが、このブルーなら着てみたいなぁと感じるほどでした。
…いやでもやっぱりブラックも捨てがたい(笑)
そして希少な革にも関わらず、これだけ豊富なカラーを展開できるのも、1枚ずつ染色ができるオールマイティの協力があってこそというわけです。
iame完全オリジナルレザーを使ったKUMAMOTO LEATHERシリーズ。
革の風合いから色味まで、類を見ない独自のマテリアルに仕上がっています。
この革を見るだけでも作り手さんの苦労や、iameの哲学なんかを感じ取ることができる。それくらいドラマが詰まった革になっていると僕は感じます。
インタビュー
まだまだ伝えたいことは山ほどあるのですが、プロダクトのレビューに関してはここまでにしておきます。
今回記事を書くにあたって、実はiameのRyukiさんに大阪までお越しいただきました。
その際、このKUMAMOTO LEATHERシリーズについて、対談形式でインタビュー動画を撮影しましたので、よかったらチェックしてみてください。
>【常識に囚われない革ジャン作りの裏側。】(YouTube動画)
革ジャンプロデュース企画第2弾について
最後に少しだけ『革ジャンプロデュース企画第2弾』についてのお話させてください。
このプロジェクトに関するお知らせが2点あります。
まず1つ目。
前回の伏せていた本プロジェクトを一緒に取り組むブランドですが、今回ピックアップした“iame”です。
何を隠そう、実はこのプロジェクトを始動するキッカケとなったのが、先ほどご紹介したiameの新作でした。
というのも、タンナーに同行させていただきiameの世界観に触れていく中で、見事に僕がRyukiさんに惹かれていったというわけです。
そして有難いことに、そのタイミングでRyukiさんから「何か一緒にやりませんか?」というお声がけを頂いたのが事のはじまりでした。
そしてもう1つ。
今回のプロジェクト名が決まりました。
『EMULSION.(エマルション)』です!
(EMULSION. 30秒ティザームービー)
“エマルション(Emulsion)”とは…
本来混じり合わない2つの液体が、微粒子状に分散し混ざり合った状態。
「“愚直でわがまま”なものづくりを貫くiame」
「“需要を捉えた”コンテンツを発信するオトコフク」
「能動」と「受動」
「アーティスト思考」と「マス思考」
「もの」と「情報」
そんな相反する2つの哲学が混ざり合って完成するプロダクト…
それが『EMULSION.』
プロジェクト名であると同時に、今回作製するレザージャケットのシリーズ名もEMULSION.と銘打って展開いたします。(気合い入れてディザームービーも作ってみました!)
また進捗がありましたら、追って共有させていただければと思います!
ぜひ今後も温かい目で見守ってやってください。
よろしくお願いいたします!
まとめ
ということで今週は、レザーブランド“iame”の新作モデルをご紹介しました。
iameは立ち上げ初期から、ずっと注目をしていたブランドの1つです。
当時から拘りや探求心が強いブランドだなと思っていましたが、まさかここまでだったとは……っていうのが僕の率直な感想です(笑)
昨今、原材料費の値上げの影響もあり、ショートカットするブランドも少なくない状況です。
その中で、自分の信念や拘りを曲げずに、とことん追求するブランドって希少なんじゃないかなと思いました。
そして今回リリースされた新作モデルは、そんな“iameの哲学”が詰め込まれたプロダクトだと僕は感じました。
革ジャンに対する想いや、今回のKUMAMOTO LEATHERシリーズが気になった方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
それでは今週はこのあたりで。
最後までご覧いただきありがとうございます!
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